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働いた時間ではなく成果で賃金が決まる働き方などについて、厚生労働省の労働政策審議会が検討する報告書案が明らかになった。「残業代ゼロ」で労働時間の歯止めがなくなるなどの懸念があるため、この働き方を適用する対象者の年収を「平均給与額の3倍を相当程度上回る」と法律に定め、対象者の拡大を抑える。働きすぎをふせぐため、深夜労働の回数も制限する方針だ。
■深夜勤も制限へ
報告書案は6日の審議会に厚労省が示す。厚労省は近くまとまる報告書をもとに今国会に労働基準法改正案を提出し、2016年4月の施行をめざす。
新しい働き方の制度では、高い専門知識を持つ高年収の働き手を対象にして労働時間の規制をはずす。時間にしばられない効率的な働き方ができるとされる一方、残業代や深夜・休日手当がつかなくなるため、労働組合は「長く働いても残業代ゼロになる」と反対している。
厚労省はこれまで、年収の条件を省令で「年収1075万円以上」とする案を審議会に示した。ただ、労組から「省令では年収が引き下げられるおそれがある」という懸念が強いため、1075万円以上とともに、労働基準法改正案で年収の基準として「平均給与額の3倍」と明記する方向だ。
この基準を設けておけば、経済情勢の変化で全体の賃金水準が上がっても対象者はそれほど増えないという。平均給与は「賞与を除いて確実に受け取れる金額」とする考えだ。14年の毎月勤労統計では、基本給や残業代などを合計した平均年収の3倍は約940万円になる。
労働時間の歯止めがなくなって長時間働く懸念もある。こうした働きすぎをふせぐため、深夜(午後10時~午前5時)に働く回数などを省令で制限する。
新制度の対象者だけでなく、全体の働きすぎをふせぐ取り組みも強化。有給休暇の取得率を上げるため、年10日以上の有休の権利がある人には年5日は取らせるよう企業に義務づける。
企画や調査業務を担う「企画業務型裁量労働制」で働く人にも、深夜に働く回数の制限など健康確保の仕組みを導入する。
(平井恵美)
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